─ 即決を引き出すコツは「背中をそっと押すこと」 ─
はじめに|「迷っているお客様」は“決められない”のではなく“決めきれない”
営業をしていて、こんな経験はありませんか?
- 商談中の空気も悪くない
- 商品にも興味を持っている
- 見積もりにも納得している
なのに…「うーん、もう少し考えます」と言われて、契約に至らない。
一生懸命に説明したのに、なぜ?と悩んだ経験、きっとあるはずです。
実はそれ、「その場で決められない人」の心理を理解していないだけかもしれません。
本記事では、営業歴15年、店長歴10年の筆者が、現場で体得した「即決を引き出す営業トーク」の極意をお伝えします。
1|その場で決められない人の心理とは?
即決しない=商品に満足していない、というわけではありません。
むしろ“満足しているけど決めきれない”というパターンのほうが多いのです。
では、なぜ決められないのか?
代表的な理由を挙げてみましょう。
● 失敗したくない心理(損失回避バイアス)
人は「得すること」よりも「損しないこと」に敏感。
「買って後悔したくない」「もっといい選択肢があるかもしれない」という“不安”が行動を止めます。
● 比較対象が不足している
AとBで悩んでいるというより、Aしか情報がない状態だと、判断基準が持てません。
つまり「まだ比較していない=決める準備ができていない」だけ。
● 他人の目や意見を気にしている
家族・パートナー・上司など、「相談してから決めたい」という人も多数。
自分で決めることに自信がない人は、他者の“承認”を得てからでないと進められない傾向があります。
2|決断を促すための営業のスタンス
では、どうやって「その場での即決」につなげるか?
ここで重要なのが、「決断の手助けをする」という意識です。
● 営業は“導く”仕事
説明・説得ではなく、「納得への案内人」であること。
押し売りでも放置でもなく、“選びやすくしてあげる”のが理想です。
● 選ぶ“軸”を提示する
例えば…
「Aはスタイル重視、Bはコスパ重視。〇〇さんはどちらが気になりますか?」
→ 軸ができると、お客様は自分で選びやすくなります。
● 共感 → 比較 → 提案 の順に進める
迷っているお客様にいきなり「こっちがいいですよ」と言っても、受け入れられません。
まずは「わかりますよ、その気持ち」と共感し、選択肢を見せた上で提案する。
この流れが、心理的な抵抗感を取り除きます。
3|よくある「迷うサイン」への対処法
お客様が迷っている時は、必ず「サイン」を出しています。
それを見逃さず、丁寧に対応することが、即決への第一歩です。
サイン①「価格・納期・支払い方法」に触れ始めた
→ 本気で検討している証拠。
「ご予算は〇〇円ぐらいでお考えですか?」と具体的に話を進めましょう。
サイン②「他の人(家族・同僚)に相談したい」
→ 背中を押してほしいサイン。
「皆さんここで悩まれるので、よかったら一緒に比較してみましょうか?」と提案を。
サイン③「他のお客さんはどうだったか?」を聞いてくる
→ “後押し情報”を欲しがっている。
「先日も同じバイクで悩まれてた方がいらっしゃって、最終的に…」という体験談が効果的です。
4|即決を引き出すテクニック3選
テク①|「仮の前提」で話を進めてみる
お客様が迷っている時に、
「もし今日お決めいただけるとしたら…」と仮定の話でシミュレーションを進めてみる。
→ 抵抗感が少なく、契約後のイメージがしやすくなります。
テク②|選択肢を減らす
迷っている人に「全部で10種類あります」は逆効果。
「〇〇さんにはこの2つが合ってると思います」と、あえて絞り込んであげましょう。
→ 「選ぶストレス」を減らすことが、即決を呼びます。
テク③|“共感のストーリー”で一歩踏み出させる
「実は僕も最初は不安だったんですが…」
「同じように迷われた方がいまして、決め手になったのは…」
→ 共感と安心の橋渡しになる「実話」は最強の武器です。
5|失敗パターンと注意点
やってはいけないのが、次のような対応です。
- 「決められない=冷やかし」と決めつける
- 「迷ってるならやめた方がいい」と話を終わらせる
- 強引に「今しかない!」と煽る
決められないお客様ほど、信頼が決め手になります。
焦らず、落ち着いて、相手の気持ちに寄り添ってあげましょう。
まとめ|“決められない人”を“納得できる人”に変える営業を
「決めてもらうこと」がゴールではありません。
「納得して選んでもらうこと」が、リピートや紹介につながる本当の成果です。
迷っているお客様に寄り添い、適切なタイミングでそっと背中を押す。
それが、信頼される営業のスタイルです。
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