排気量選びで迷うのは当たり前。まずは「用途」で考えよう
初めてバイクを買うとき、多くの人が最初につまずくのが“排気量”です。125cc、250cc、400cc、大型…種類が多すぎて「どれを選べばいいの?」と迷ってしまうのは当然のことです。
実際、店頭でも最初に聞かれる質問の8割が「250ccと400cc、どっちがいいですか?」という内容です。その答えはシンプルで、「どんな使い方をしたいか」で決まります。
ただ、実際「どんな使い方をしたいですか?」と聞かれてもイメージが湧かないですよね?
私も、ただ「バイクに乗りたい!」という気持ちだけで免許を取りに行き、バイク屋さんにバイクを見に行った記憶があります。笑
そこで、漠然とでもいいのでバイクを買った後の自分を想像してみましょう。
「バイク乗りの友達のツーリングに一緒に参加する」・「一人で自由気ままに旅をする」・「通勤で使う」など、なんとなく使い方がイメージできると思います。
たとえば、通勤や街乗りメインなら軽くて燃費のいい125cc。週末にツーリングへ行きたいなら250〜400cc。ロングツーリング中心でパワーが欲しいなら大型。
つまり、“数字で決める”より、“使い方で選ぶ”ことが後悔しない第一歩です。見た目やスペックに惹かれて選ぶ人も多いですが、実際の満足度を左右するのは「どこで・どれくらい走るか」というライフスタイルの部分です。
この記事では、営業歴16年・店長歴9年の私が数千人のお客様とお話ししてきた経験と、自分自身の体験を皆さんにアドバイスさせていただきます。初バイクで後悔しないように参考にしていただけたら幸いです。

125cc・250cc・400cc・大型、それぞれの特徴とおすすめ用途
【125cc】通勤・通学・街乗り中心ならコスパ最強
125ccは「原付二種」と呼ばれ、街乗りに最適なクラス。燃費が良く、税金・保険料も安い。それでいて2人乗りもできる。何より軽くて扱いやすいので、初めてでも安心して乗れます。
一方で高速道路や高規格道路には乗れないため、行動範囲は限られます。「職場や買い物に行く」「ちょっとしたツーリングを楽しみたい」程度なら、十分すぎる性能です。
また、サイズもコンパクトなモデルが多いので駐車場問題にも悩みにくいのも特徴です。
店長コメント:実際に125ccでバイクライフを始めた方の多くは、「車庫からの出し入れが楽で、小回りがきくから乗る回数が増えた」「維持費が安いから家族からOKがもらえた」と話します。“とりあえず始めてみる”には最適なクラスです。

【250cc】見た目・パワー・維持費のバランスが抜群
125ccでは物足りないけど、大型はまだ怖い。そんな人にピッタリなのが250ccです。
高速道路も走れて、街乗りも楽。車検が不要なので、維持費を抑えつつツーリングも十分楽しめます。デザインも豊富で、スポーツタイプからネイキッド、アドベンチャーまで選択肢が多いのも魅力。
ただ、北海道のような直線道路が長い地域ではパワー不足を感じることもあります。
店長コメント:多くの初心者が最初に選んで「正解だった」と感じるのが250cc。扱いやすく、練習すればすぐに乗りこなせる。何より“バイクを操る楽しさ”を実感できる排気量です。

【400cc】高速道路も楽々、ツーリング派におすすめ
400ccになるとエンジンの余裕が一気に増します。高速走行でも安定し、2人乗りやロングツーリングにも向いています。車検はありますが、近年は燃費性能も高く、維持費の差はそれほど大きくありません。
ただし、重量が増すぶん取り回しは少し重く感じるかもしれません。「パワーよりも扱いやすさを重視する人」は、250ccとの違いをよく比較してから選ぶと良いでしょう。
やはり、車検があるので家族に反対されるケースが増える傾向があります。
店長コメント:400ccを選んだ方の多くが「長距離がすごく楽になった」と話します。逆に、最初の1年であまり乗れなかった方は「ちょっと重く感じて手放した」というケースも。自分の“使う頻度”をよく考えるのがポイントです。

【大型】余裕はあるが、初心者がいきなりは非推奨
大型バイクは、トルク・安定性・存在感すべてが別格。北海道や高速道路では圧倒的に快適で、長距離ツーリングも疲れにくい。
ただし、初心者が最初から選ぶにはリスクもあります。大きさや重量の問題で取り回しやUターンが難しく、ちょっとした立ちゴケで心が折れてしまうことも。
また、パワーがありすぎて怖いという方もおられます。
店長コメント:「免許を取った勢いで大型を買ったけど、怖くて乗らなくなった」という相談は本当に多いです。最初は250ccなど扱いやすいクラスで経験を積み、次のステップとして大型を選ぶのが理想です。四輪で例えますと、初心者マークをつけたフェラーリやランクルのようなイメージです。

排気量だけで決めると後悔する理由
初心者がよくやってしまうのが、「予算」や「スペック」だけで決めてしまうことです。しかし、排気量は“乗る環境”との相性で満足度が決まります。
たとえば、平日は通勤だけ、週末も近場を走る程度の人が大型を買うと、重くて出し入れが面倒になり、結果的に“乗らないバイク”になってしまうこともあります。
一方で、ツーリング好きが125ccを選ぶと、高速に乗れず不便を感じるでしょう。つまり、「使い方」と「排気量」が合っていないと、せっかくのバイクが“ストレスのもと”になってしまいます。
店長コメント:店頭でよく聞く後悔の声は、「もっと軽いのにしておけばよかった」。スペックよりも“乗る回数”が、満足度を決めるんです。

店長が見てきた“後悔しない人”の共通点
私の経験上、後悔しない人にはある共通点があります。それは、「いきなり完璧を求めず、まずは自分のペースで始めている」こと。
特に250ccからスタートした人は、その後に大型へステップアップしても、操作に余裕があり、どのクラスに乗っても楽しめています。バイクは“経験の積み重ね”でどんどん世界が広がる乗り物です。
私の感覚としてはスキーやスノーボードに近いと考えています。
初めてゲレンデに行った方がいきなり上級者コースに行くことは稀だと思います。まずは初心者コースで慣れてから、徐々に難易度を上げていくはずです。中には、初心者コースだけで十分満足できる方もいらっしゃると思います。
バイクも同じで、まずは排気量の小さいモデルでスタートしていただき、物足りなさを感じるようになってから、ステップアップしていく流れが一番満足度が高くなります。もちろんたくさん乗り換えをすることになればそれだけお金がかかってしまうのですが・・・😅
また、見た目で選ぶのも悪いことではありません。気に入ったデザインのバイクなら、自然と乗りたくなるし、丁寧に扱うようになります。ただし、その際は「重さ」と「足つき」だけは必ず確認しましょう。
店長コメント:最終的に“好きになれる1台”を選んだ人が、一番長く乗っています。数字よりも「ときめき」と「扱いやすさ」の両立を意識しましょう。

まとめ|最初の1台は「行動範囲」と「楽しみ方」で選ぼう
排気量選びで迷うのは、誰にでもあることです。しかし、“どこを走りたいか”“どんな時間を過ごしたいか”を軸に考えると、自然と答えは見えてきます。
125ccで気軽に街を流すのも、250ccで週末ツーリングを楽しむのも、どちらも正解。大切なのは、「自分の生活に合ったサイズを選ぶ」ことです。
最初の1台は、あなたのバイクライフを形づくる“最初の相棒”です。迷ったら、ぜひ一度またがって、ハンドルを握ってみてください。その瞬間の“しっくり感”こそ、あなたに合う排気量のヒントになります。


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