営業で結果を出す人が知っている:話すより「聞く」ことのパワー

話す力よりも、相手の本音を引き出す「聞く力」こそが営業の武器。

「営業では、話すよりも聞くことが大事」――この言葉は、営業マンなら一度は耳にしたことがある定番フレーズです。多くのビジネス書やSNSでも繰り返されています。
しかし、現場で新人を教育すると、「聞く営業」ができていないケースが実に多く目に入ります。

目次

なぜ「聞けない営業マン」が生まれてしまうのか?

多くの営業マンは、“話すことで説得する”という誤解からスタートしている。

聞く力が弱い原因はいくつかありますが、最も大きなものは次の思い込みです:

相手の状況を知らないまま「刺さる提案」をしようとしている。

言い換えれば、的(ターゲット)も分かっていないのに矢を放っているようなもの。どんなに射撃の腕が良くても、的が見えていなければ当たらないのです。

営業の始まりは「話す」ではなく「探る」こと

相手の背景や目的を探ることが、成果の9割を決める最初のステップ。

成果を上げている営業マンは、まず相手の背景を探ります。具体的にはこんな問い:
・どうして来店されたのか?
・今、何に困っているのか?
・どんな未来を期待されているのか?

この探る段階をすっ飛ばして話を始めると、まるで暗闇で矢を放つような状態に。
だからこそ、まず話すのではなく「探る」ことが最初の一歩なのです。

現場でよく見かける「話しすぎ営業」のパターン

自分の話ばかりでは、お客様の「本当の関心」に一切届かない。

私が店長として見てきた中で、次のような失敗パターンが繰り返されていました:

「人気モデルだから」といきなり紹介。

→ 実はお客さんは「取り回しの軽さ」を重視。大型モデルは「大きすぎて怖い」と断られて終了。

雑談抜きで即「見積もり提示」。

→ お客さんは「まだ様子見」だったのに、警戒されて退店。

「自分のおすすめを熱弁」。

→ しかしお客さんが求めていたのは「家族も安心できる選択肢」。視点のズレで話が刺さらず。

共通点は、“お客様が何を考えているのか”を知らず、自分の持ちネタをぶつけてしまっていることです。

「聞ける営業」になるための5実践ポイント

聞く力はトレーニングできる。現場で今日から使える5つの方法を紹介。

聞く力を身に付けるために、具体的にできることを5つ紹介します。

「何をしに来たのか」を必ず確認する

購入目的か?情報収集か?比較検討中か?既に候補ありか?自分用か?家族用か?
これがわかると、雑談の仕方も提案の切り口も変わってきます。

「言葉」よりも「背景」に注目する

お客さんの発言をそのまま受け取らず、「なぜそう思ったのか」「どうしてそう言ったのか」を探ります。
例:「長距離も走りたいんですよね」→「なぜ?」(友人とツーリングが趣味)→「どこに行く予定?」(山道が多い)→「なら軽量で登坂に強いモデルが合いそうです」

雑談の中で情報を拾う

質問攻めではなく、自然な会話からヒントを得ます。
「今日は車で来られたんですね」「お子さんいらっしゃるんですか?」「バイクはこれまで乗られてましたか?」
雑談の中には、提案のカギになる情報がたくさん隠れています。

全身で「観察」する

聞くのは耳だけではなく、目も使う。
服装や車、話し方などからお客様の生活スタイルを読み取り、トークの温度やスピードを調整する。

「聞いたこと」を提案に反映する
話を聞くだけでなく、内容を提案に生かす。
✕「今キャンペーン中でお得なんです!」
○「通勤にも使いたいとおっしゃっていたので、燃費の良いこのモデルがおすすめです」
お客様は「自分の話を覚えてくれていた」と感じた瞬間に心を開きます。

    聞く力を磨くと、営業はもっと楽になる

    “聞く営業”は相手に喋らせる技術。押し売り感が消え、信頼が生まれる。

    “話す営業”は自分からボールを投げ続ける必要があり、疲れやすい。
    一方、“聞く営業”は相手に話してもらうことで、自然に会話が転がります。
    「この人、ちゃんと話を聞いてくれている」と感じたお客様は、営業に心を開いてくれます。

    まとめ|「聞く営業」は、最も地味で、しかし最も強いスキル

    相手の言葉の奥にある“背景”を拾えた瞬間、営業は一気に変わる。

    営業という仕事は、ただ会話を交わすだけではありません。相手の本音をキャッチし、背景を汲み取り、必要な提案をすること。
    まずは自分のトークよりも「お客様の言葉」に耳を傾けることが大切です。

    何を求めているのか?
    どんな背景があるのか?
    何に不安を感じているのか?
    これらを丁寧に拾い上げ、提案に意味を持たせることができたとき、営業の景色は一変します。

    今日からぜひ“聞く営業”を意識してみてください。小さな変化が、大きな信頼を生みます。


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