はじめに
皆さんこんにちは!北海道でバイク屋の店長をしている、ゆきヘル店長と申します。
初めてのバイクでツーリングを楽しんでいたら、スリップして転んでしまった――。
「痛い!」「どうしよう?」「バイクは大丈夫?」頭の中にいろんな疑問が一気に押し寄せてきて、パニックになってしまうものです。
私自身、20年以上バイクに乗り、北海道で9年間バイク屋の店長をしてきました。毎年のように道内にやってくるツーリングライダーの転倒やトラブルを日々対応しています。だからこそ分かるのは、転倒時に“どう考えてどう動くか”で、その後の安全とツーリングの行方が大きく変わるということです。
ここでは、もしあなたが転倒してしまった時に役立つ「具体的な行動手順」と「心構え」を整理してお伝えします。
まずは自分の体を確認する
転んだ瞬間、真っ先に気になるのはバイクの方かもしれません。ですが、最優先は自分の体です。
- 呼吸は苦しくないか
- 手足は動くか
- 強い痛みや出血はないか
- 頭を打ってフラつきはないか
特に頭部を打った可能性がある時は注意が必要。フルフェイスを被っていても衝撃は残ります。
よくあるのが「アドレナリンで痛みを感じにくい」ケース。走り続けてしまい、あとから大きなケガが判明することもあります。
少しでも不安があるなら、無理せず救急要請をすることが最優先です。

二次事故を防ぐために安全を確保する
体が動かせるなら、次に大事なのは周囲の安全です。
転倒場所が道路上であれば、後続車に轢かれるリスクがあります。北海道の郊外路は特に直線が長く、後ろの車が気づくのが遅れることも多いです。
- 可能ならバイクや自分を道路脇へ移動
- 三角停止板や発煙筒があれば設置
- 仲間がいれば後方で合図してもらう
ツーリング仲間がいないソロライダーなら、ハザード点灯やスマホライトで後続車に知らせることも有効です。

バイクよりも自分を優先する

転けた直後、多くのライダーがやってしまうのが「バイクを急いで起こそうとする」こと。
しかしここで焦るのは禁物です。
- 怪我の状態を再確認
- 周囲の交通状況を確認
- まず深呼吸で落ち着く
バイクは倒れていてもすぐには壊れません。自分の安全と冷静さを取り戻す方が先です。
バイクが走れるかのチェックポイント

体が大丈夫で、周囲も安全が確保できたら、次はバイクを見てみましょう。走れるかどうかの判断基準は次の通りです。
- ハンドルやミラーが折れていないか
- レバー(ブレーキ・クラッチ)が操作できるか
- ブレーキが効くか
- オイルやガソリンが漏れていないか
- ライトやウインカーが点灯するか
ここで一つでも不具合があれば、走行は中止してください。特にオイル漏れやブレーキ不調は命取りになります。
連絡すべき相手
「どうすればいいか分からない!」と迷う人が多いですが、基本はこの2つです。

任意保険のロードサービス窓口
多くのバイク保険にはロードサービスが付帯しています。距離無制限対応のプランも多く、北海道ツーリングでは心強い存在です。

家族や仲間への連絡
無事を伝えるだけでも安心させられますし、次の行動を考える助けになります。
北海道は都市部から離れるとレッカー到着まで数時間かかることもあります。
スマホの電池残量を確保する工夫(モバイルバッテリー携帯など)も必須です。
バイクを起こせないときの対処法
小柄なライダーや女性に多いのが「バイクを一人で起こせない」という悩み。
正しい起こし方は
- 背中をバイクに向けて腰を落とす
- ハンドルを切ってテコの原理を使う
- 膝と腰の力でじわじわと起こす
ただし、砂利道や濡れた路面では滑って難しいこともあります。無理をせずロードサービスを呼ぶことが一番安全です。
無理して再転倒 → さらに壊す、ケガを悪化させる、というケースを何度も見てきました。

転倒を経験値に変える
転けた直後は落ち込みますし、「もうバイクなんて嫌だ」と思う人もいます。ですが、経験者から言わせてもらえば、転倒は必ず学びに変えられるものです。
- スピードが出すぎていなかったか
- 路面状況(砂・マンホール・濡れた白線)を甘く見ていなかったか
- 疲労や集中力不足がなかったか
- 装備は十分だったか
原因を冷静に振り返れば、次に同じ失敗をしないための大きな糧になります。
北海道でも毎年多くのライダーが転倒しますが、その後に再び元気に走って「いい勉強になった」と笑って帰っていく人を何度も見てきました。
ドライブレコーダーの映像を見返してあげると一番客観的に原因を追求できます。
まとめ
バイクで転倒した時は、次の流れを覚えておいてください。
- 自分の体の安全確認
- 周囲の安全確保(二次事故防止)
- バイクよりも体を優先して落ち着く
- 走行可能かチェック
- 任意保険やロードサービスへ連絡
- 起こせない時は無理せず依頼
- 転倒を経験値として次に活かす
ツーリング先での転倒は誰にでも起こり得ます。大事なのは「無理をしない」「焦らない」こと。そして、転倒をきっかけにライディングの知識や装備を見直せば、より安全に、より楽しく走れるようになります。
北海道のバイク店長として日々トラブル対応をしてきた私が断言できるのは、転倒は失敗ではなく“ライダーとしての成長の一部”だということです。恐れすぎず、でも軽く見ず、冷静に乗り越えていきましょう。

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